2024年 動物たちとの約束
2024年の診察も終わりになりました、一年間どうもありがとうございました。年末年始のお知らせです。12月31日(火曜)から1月3日(金曜)までお休みを頂きます。1月4日(土曜)から、通常通りの診察となり、午前は9時~11時半受付、午後は14時~15時半受付で診察を行います。お正月明けは、混雑が予想されます。お待たせする事も多いと思いますが、ご協力よろしくお願いいたします。お急ぎではない診察は、週明け以降をおすすめいたします。
最近の動物医療の話題としては、動物病院も専門性の高い病院が、まずは都会を中心に増えてきました。人の大学病院のような、二次診療、三次診療を行う動物病院です。今まではどうしても診断のつかない病気や、治療が難しい病気でも、MRIやCTの検査機器や、様々な最先端の治療法で、出来る事が増えてきました。実は滋賀県は、京都や大阪に近いため、一時間前後ぐらいで、大きな病院に行きやすい環境になります。特に今年は大きな病気を患う子も多く、そんな専門性のある二次診療施設に、検査や治療を依頼しました。脳の病気や、外見では分からない病気、悪性の腫瘍など、様々な病気について、診断や治療を実際に受けてもらう事ができました。昔と比べると、出来ることが増えた分、そのような施設との連携はますますと大事であると感じています。診断や治療の方針がつけば、当院で引き続きに治療を行えるようにし、連携をとりながら引き続きに治療に取り組んでいます。
一方で、シニアの動物が、健康に長生きするためには、治療のレベルが上がる事も大事ですが。何より病気の早期発見・早期治療が、重要になります。シニア期に近づいた動物たちには、積極的に健康診断をおススメしております。そもそも、人と違い動物は自覚症状を訴える事もなく、早い段階で病気を見つけることは出来ません。表に症状が出て分るようになった時には、それなり進んだ状態となります。毎年1回から2回の健康診断をすすめています。特に血液検査は採血だけで、比較的に多くの病気のチェックができるため、健康診断の入り口としては最適です。
当院は当初から、病気を治すということだけではなく、病気にならないための予防や、生活の困りごと、しつけの問題など、動物の事が何でも気軽に相談ができ、一つでも心配事がなくなるような動物病院を目指していました。開院して10年たち、改めてその重要性を感じています。ぜひ、病気だけではなく、生活の困りごとや、心配事などありましたら、何でも気軽にご相談頂けたらと思います。
さて、今年最後のブログも、「犬の十戒」をご紹介いたします。英語の詩で、日本でも訳されて広がっています。ペットとして犬が家族である飼い主に守ってもらいたい、10の事を語りかけています。非常に多くのことを考えさせられれる文章です。
1.My life is likely to last ten to fifteen years. Any separation from you will be painful for me. Remember that before you get along with me.
私の命は10年や15年ぐらいです。どんな時でも、あなたと離れるのは辛いです。
私と一緒になる前に、ずっとそれが出来るか考えてください。
2.Give me time to understand what you want of me.
あなたがしてほしいことを理解するには、私は時間がかかります。
どうか根気強く待ってて下さい。
3.Place your trust in me- it's crucial to my Well-being.
どうか私のことを心から信頼してください。
そんなあなたの心が、私の幸せのすべてなんです。
4.Don't be angry at me for long and don't lock me up as punishment. You have your work, your entertainment and your friends. I have only you.
あまり長い時間叱ったり、どこかに閉じ込めてしまう罰を与えないでください。あなたには、仕事もあります。楽しいこともあります。友達だっています。
でも、私にはあなたしかいないのです。
5.Talk to me. Even if I don't understand your words, I understand your voice when it's speaking to me.
たくさん、私に話かけてください。
言葉はわからなくても、あなたのその声をちゃんと私は理解していますから。
6.Be aware that however you treat me, I'll never forget it.
いつでも、私の世話をどのようにするか気にかけてください。
私はそれを決して忘れません。
7.Remember before you hit me that l have teeth that could easily crush the bones of your hand but that I choose not to bite you.
私を叩いて叱る前に、思い出して下さい。
私が本気になれば、あなたの腕にかみつける牙があることを。
でも、私は決してあなたを傷付けないと決めてることを。
8.Before you scold me for being uncooperative, obstinate, or lazy, ask yourself if something might be bothering me. Perhaps I'm not getting the right food or I've been out in the sun too long or my heart is getting old and weak.
私のことを、言うことを聞かない、頑固だ、怠け者などと叱る前に、
私がそうなってる原因がないか、どうか自分に問いかけてみて下さい。
ちゃんと私にご飯をくれてはいますか?
暑い日に外に長い間ほってないですか?
もしかして、私の心臓が年老いて弱ってないでしょうか?
9.Take care of me when I get old ; you, too, will grow old.
私もあなたも年をとります。
いつか私が年老いても、どうか私を見続けてください。
10.Go with me on difficult journeys. Never say, "I can't bear to watch it ." or " Let it happen in my absence." Everything is easier for me if you are there. Remember I love you.
最期のときがきたら、どうかその時は私のそばにいて下さい。
「見てられない」とか、「私のいないこところで」なんて、言わないで下さい。あなたがそばにいてくれれば、私はどんなことだって、受け入れれるんです。
そして、どうか覚えいてください。私があなたを愛していることを。
今年は心臓病と長年に上手に付き合ったキャバリアの子が、天寿を全うして、ついにお迎えがきました。もともとキャバリアは、生まれつきに心臓病が多く、ほとんど全てのキャバリアが心臓病を患うと言っても過言じゃないほどに心臓病が多いです。その子も比較的に若いうちに心臓病を抱え、何度か呼吸困難のピンチもありました。その都度にうまく治療に反応があり、見事に復活しました。その後も通常半年もつかどうかの心臓で、しっかりと投薬治療を行い、本当にうまくバランスをとりながら数年間、びっくりするぐらいに長生きして、ついにお迎えがきました。投薬治療もそうですが、日頃からの飼い主さんのケアも素晴らしく、本当に手を尽くして頂きました。時には、お家で負担なくケアが出来るようにと、爪切りや、足回りの毛をケアしたいと、お手入れ教室に一緒に参加されたことも。毎年に夏になり暑くなると、しんどそうに見えると、お家の方は、夏の間は時には自分は毛布をかぶりながら、クーラーを強くして過ごしていたというのが、すごく印象的です。
心臓病は、犬の死因の上位を占める病気で、特に小型犬には珍しい病気ではありません。歳と共に徐々に進行して、最終的には肺に水が溜まった肺水腫を起こし呼吸困難を起こします。緊急で病院に運ばれてくることもある病気です。呼吸困難をうまく乗り切れたとしても、心臓病自体は治る事はありませんので、約半年ぐらいで限界が来ることが多いです。
しかし、この病気は聴診をすることで、比較的に初期の段階で見つかる事も多く、症状が出る前に治療を行う事が可能です。健康診断や、ワクチンなどの診察の時にたまたまに見つかることもあります。病院にあまり来ることがないと、症状がないまま、通常は気づかれずに徐々に進行していきます。早く見つかった動物は、エコー検査やレントゲン検査で、進行を判断しながら、あまり症状を出さないまま、うまく投薬で心臓を長持ちさせ付き合っていくことが出来ます。長期戦になる病気ですが、しっかりと治療することで長生きは可能です。これからもこういった高齢疾患の動物の治療だけでなく、生活のケアまでも、一緒にできるような動物病院でありたいと思います。
今年も多くの動物たちとの新たな出会いがありました。同じく、多くの動物たちとの別れもありました。動物は人より寿命が短いものです。誕生からその生涯を終えるまで、身をもって人に多くの事を学ばせてくれます。時には手のかかる子供のような存在であり、頼れる兄弟のようであったり、優しく話を聞いてくれる親であったり。家族それぞれに、多くの事を教えてくれて、我々を成長させてれます。癒しや楽しい時間はもちろん、年老いていく姿や、最期は自分の死をもって、限りある「命」の重みを考える時間を与えてくれます。
どの動物にも思い入れはありますが、小さい時を知っている動物たちは、特に様々な思い出もあります。私たちもご家族同様に、動物たちの成長に驚かせられ、うれしく思いながら診察をしていたことを思い出します。そんな子たちと一緒に歳をとり、診察の合間に、お家での色々な出来事を聞くのが楽しみでした。いよいよ歳をとり、治らない病気を患っても、ご家族とともに、この子にはどんな治療があっているのか、どんな過ごし方が幸せなのかを相談しながら、動物が最期まで頑張って生きている姿を見れたことは、私にとっては感慨深い事でした。そんな一生の中で、私たちにも、いろいろな事を身をもって教えてくれていたと感じます。
これからも、どんな時でも動物の一番の味方でありたいと思います。動物に関する多くのことにも関わり、少しでも幸せな動物が増えてくれればと思います。また、そんな動物たちが多くの人たちを幸せにし、間接的にでも人の役に立てればと思います。これが、今まで私たちが出会い別れた、多くの動物たちとの約束です。
動物たちに感謝し、多くの動物たちとその周りの人たちが幸せに暮らせるため、2025年もよりいっそう精進することを誓い、今年の締めくくりとさせて頂きます。ありがとうございました☆
みかみ動物病院 院長 三上直樹