2025年 動物たちとの約束
2025年も残すことろわずかとなりました。本年も30日で最後の診察となりました。本年も地域の皆様のおかげで一年無事に診察を終える事が出来ました。ありがとうございます。また、4日(日曜)から体調不良などによる救急的な診察を行います。5日(月曜)からは通常診察を行います。
今年は、SFTS(重症熱性血小板減少症候群)と呼ばれるダニの病気がニュースでも度々と報道されていました。もともと、10年ほど前に見つかった人の病気で、マダニにより感染が起こる事が分かっていました。致死率30%ほどで、特効薬があるわけではありません。特に高齢の方では致死率が高い病気です。
数年たち、動物にも感染が起こる事も分かってきました。犬も猫も感染が報告され、犬で致死率は40%、猫では高く60%とされています。動物の感染の報告も毎年に上がっています。検査の精度が上がった事もありますが、温暖化によりマダニの生息域が広がったり、長い期間にマダニが活発な事も関わっていると考えられています。滋賀県でも、感染の報告があります。
さらに感染した動物が、人に感染を起こすという事も判明しました。感染した動物の唾液にもたくさんウィルスが排出され、感染源となりえるとのことです。今年はついに、感染した動物から人へ感染を起こしたケースの、初めての死亡者がでました。しかも動物病院の方だそうで、治療にあった際に、感染したと予測されています。70代のベテランの獣医師の方だったので、年齢もあるかもしれませんが。症状も様々なため、すぐに診断もつかない事も多く、恐らく、今後も看病の最中に、我々だけではなく、お家の方にかかるケースも増えてくると思われます。
この病気のスタートは動物がマダニに刺される事に始まるものですので、マダニの予防が何より重要になってきます。動物に対しても致死率が高いですので、動物を守る事が、人の感染の予防にもなります。当院でも今年から、マダニの予防に関しては、一般には年中の予防を推奨しています。長期に効果のある、マダニの予防薬もあります。
獣医師の役割の中には、動物の病気の治療ではなく、実は人の健康に関わる仕事が多くあります。人獣共通感染症と呼ばれる、動物にも人にも感染する病気に対しての、感染の予防や対策も一つです。今回のように、ついに病気の動物から人への感染、そして死亡するという事態が起こり、より一層に、この病気への注意が必要になっていると感じます。

さて、今年最後のブログも、「犬の十戒」をご紹介いたします。英語の詩で、日本でも訳されて広がっています。ペットとして犬が家族である飼い主に守ってもらいたい、10の事を語りかけています。非常に多くのことを考えさせられれる文章です。
1.My life is likely to last ten to fifteen years. Any separation from you will be painful for me. Remember that before you get along with me.
私の命は10年や15年ぐらいです。どんな時でも、あなたと離れるのは辛いです。
私と一緒になる前に、ずっとそれが出来るか考えてください。
2.Give me time to understand what you want of me.
あなたがしてほしいことを理解するには、私は時間がかかります。
どうか根気強く待ってて下さい。
3.Place your trust in me- it's crucial to my Well-being.
どうか私のことを心から信頼してください。
そんなあなたの心が、私の幸せのすべてなんです。
4.Don't be angry at me for long and don't lock me up as punishment. You have your work, your entertainment and your friends. I have only you.
あまり長い時間叱ったり、どこかに閉じ込めてしまう罰を与えないでください。あなたには、仕事もあります。楽しいこともあります。友達だっています。
でも、私にはあなたしかいないのです。
5.Talk to me. Even if I don't understand your words, I understand your voice when it's speaking to me.
たくさん、私に話かけてください。
言葉はわからなくても、あなたのその声をちゃんと私は理解していますから。
6.Be aware that however you treat me, I'll never forget it.
いつでも、私の世話をどのようにするか気にかけてください。
私はそれを決して忘れません。
7.Remember before you hit me that l have teeth that could easily crush the bones of your hand but that I choose not to bite you.
私を叩いて叱る前に、思い出して下さい。
私が本気になれば、あなたの腕にかみつける牙があることを。
でも、私は決してあなたを傷付けないと決めてることを。
8.Before you scold me for being uncooperative, obstinate, or lazy, ask yourself if something might be bothering me. Perhaps I'm not getting the right food or I've been out in the sun too long or my heart is getting old and weak.
私のことを、言うことを聞かない、頑固だ、怠け者などと叱る前に、
私がそうなってる原因がないか、どうか自分に問いかけてみて下さい。
ちゃんと私にご飯をくれてはいますか?
暑い日に外に長い間ほってないですか?
もしかして、私の心臓が年老いて弱ってないでしょうか?
9.Take care of me when I get old ; you, too, will grow old.
私もあなたも年をとります。
いつか私が年老いても、どうか私を見続けてください。
10.Go with me on difficult journeys. Never say, "I can't bear to watch it ." or " Let it happen in my absence." Everything is easier for me if you are there. Remember I love you.
最期のときがきたら、どうかその時は私のそばにいて下さい。
「見てられない」とか、「私のいないこところで」なんて、言わないで下さい。あなたがそばにいてくれれば、私はどんなことだって、受け入れれるんです。
そして、どうか覚えいてください。私があなたを愛していることを。

今年も多くの動物との出会いと、別れがありました。
最近では、食事や医療の向上により、長生きが出来る動物が増えてきました。現在では犬は平均的に13~16年ほど寿命があります。大型犬では少し短く、小型犬ではやや長生きの傾向があります。猫の平均寿命も同じぐらいですが、猫は時々に20歳を越えて、22,23歳の猫ちゃんなんてのも、稀に出会う事があります。
犬ではハタチを越す犬は、非常に稀な印象です。その中で、今年はなんと、当院に来てもらってるワンちゃんのなかで、ハタチを迎えた犬が何頭がいます。私の個人的な目標は、まずは平均寿命を健康的に迎えれる事です。
共通点は比較的にどの子も性格的にマイペースで、食事への関心が強く、お家の方も適度な過不足のないお世話をされているような印象です。
その中で、ちょうどハタチを迎えたまさにその日に、お迎えがきた子もいます。ご家族もハタチを目標にお世話をされていましたので、それを知ってかのように。時々には多少の体調不良があったりもしましたが、見事に回復し、当日も何事もないぐらいに過ごせていいました。ハタチまで生きれて、特別な持病もなく、苦しむこともなく、お家で安心しながらにお迎えがくるなんて。もちろん寂しい出来事でもありますが、またこれ以上ないぐらいの理想的な一生の送り方だと思います。
特に長生きをする動物が増えてきて、どこまで治療をするのが、動物自身や、ご家族にとって、幸せなのかを考える事が多々あります。人でもある事かもしれませんが、治療をすることにより、むしろ延命をしてしまったのではと迷いを口にされる方もおられます。
当院の方針としても、高齢動物に関しては、病気目線の無理な治療はおススメはせず、本人の性格やご家族との関わりを考えながらの治療方針をたたていきます。考え方や価値観はいろろなため、どれが正解という事はないですが、私個人としては、本人に生きる楽しみがある限りは、頑張って治療をしても良い時だと思っています。食べる事が好きな子にとっては、例えオヤツであっても、例え量は少なくとも自身で食べる気がある限りは、それが生きる楽しみですので、そのためにも治療を行ってもいいのではと思います。
人も動物も限られた命です、高齢動物を飼っておられる方は、いつか来るお迎えに関して、いつかは考えて頂く必要のあることです。それに際し、我々は、最終的に動物が安心して人生を終える事ができて、そしてご家族が飼ってよかったなって思ってもらえるような治療を提案をし、寄りそっていくことが、今まで私が出会い、別れた動物たちとの約束です☆

