6月も半ばになりました。5月中旬からきっちり初めて頂いた方は、そろそろフィラリアの2回目の投与の時期になります。お忘れありませんように。
さて、今年は新型コロナのため、春の勉強会が開催できませんでしたので、プチ勉強会です。今回は、人でも動物でも病気の原因になる、病原体についてです。病原体には、病気の原因になる、ウィルス、細菌、真菌(カビ)、寄生虫などがあります。その中でも、『ウィルス』や『細菌』という言葉はなじみがあると思います。例えば、犬のジステンパーや、パルボ、猫のエイズ、白血病と呼ばれる病気の原因はウィルスです。また、犬のレプトスピラや、犬猫が舐めたことで起こる皮膚病、また膀胱炎などは、細菌が原因の病気です。さて、ウィルスと細菌の違いとはなんでしょうか?
まず一つ目の違いは大きさです。両方ともにもちろん目には見えない程の大きさですが、細菌とウィルスで約100倍ほどの違いがあります。細菌は普通の顕微鏡で見ることはできますが、ウィルスは小さすぎて通常は電子顕微鏡ぐらいでしか見ることが出来ません。人とウィルスとは1000万倍ほど差があるそうです。ウィルスを犬猫としたら、細菌は象やキリンぐらい、人はなんと地球ぐらいの大きさになります。ウィルスは病原体の中でもすごく小さいのです。よくウィルスはマスクを通すと言われるのはそのためです。
二つ目の違いは構造です。ウィルスは簡単なたんぱく質の膜の中に、増殖するための情報が入ったDNAなどの遺伝子が、わずかに10個ほどです。イメージとしては、最小限の遺伝子とそれを入れる入れ物という、非常にシンプルなものです。一方、細菌は、人間と同様に、細胞をもち、その中では遺伝子がある核と、生きるために必要な様々な働きをする独自の仕組みをもっています。細菌は鞭毛をもっていることもあり、自ら移動する事もできます。
三つ目は増え方です。細菌は環境と栄養源がそろえば増える事が出来ます。人間や動物の体だけではなく、食べ物や、土や水などの自然の中、いたるところで増殖することができます。そのため、食べ物で増える事ができるサルモネラなどの細菌は、食中毒の原因となる事が多いです。その点、ウィルスは細胞をもたないため、自分で増殖することは出来ません。生き物の細胞に侵入して、その細胞の働きを乗っ取って増殖していきます。仕組みもシンプルの為、増殖スピードも速く、1日でおよそ100万倍ほどに増殖します。増えたウィルスはまた、その細胞を破壊して、次の細胞へと乗り移っていきます。自分で増殖することは出来ないため、ウィルスは基本は生き物とは分類されていません。
四つ目は、治療や予防について。よく、薬で抗生剤と言う言葉を聞くと思います。抗生剤というのは、基本的には細菌に効くもので、ウィルスを抑えることはできません。抗生剤は様々な種類があり、多くの細菌が関わる病気が治療できるようになりました。しかし、ウィルスは現時点でもあまり特効薬と呼ばれるものは少なく、細菌の抗生剤と比べると有効なものは非常に数は少ないです。そのため、ウィルスの病気に関しては、なかなか太刀打ちできないものが多かったりします。治療薬がなくても、犬猫の病気を起こす細菌もウィルスも両方ともに、流行している病気に関してはワクチンが作成されています。特にウィルスは治療薬がありまりないため、事前に、体が免疫の記憶をつけておくことで、いざ感染したときに素早く免疫が働く準備を行います。犬の場合は少ないワクチン(6種)と言われるものが、ウィルスのみのワクチン。それ以上の数である多いワクチン(10種等)が、一般的には細菌であるレプトスピラの予防が出来るようになっています。
というわけで、最後のまとめです。『細菌は自分の細胞をもち、自己増殖が可能あり、抗生剤等で治療が出来できます』『ウィルスは、かなり小さくシンプルな構造で、自分で増える事は出来ません。治療薬はあまりなく、予防としてのワクチンが非常に有効です。』新型コロナは知っての通りウィルスの病気です。滋賀県ではしばらくは発生は見られませんが、まだまだどうなるかは分かりません。特効薬がないぶん、有効なワクチンの作成が待ち望まれています。
さて、当院の花壇も梅雨の中、夏の花壇に少しずつ更新中です。まだまだ花はこれからですが、夏の花壇は勢いがありますので一気に成長してくれると思います。ご期待下さい☆