先日は秋の勉強会第三弾として、歯磨き教室を行いました。今回もたくさんの方に参加いただきましてありがとうございました。
近年、動物たちも寿命がどんどんのびており、以前では、問題にならなかった病気が、高齢期になり問題となってきました。その一つが、歯周病です。以前は歯が悪くなるまでに寿命がきたり、もしくは歯の間隔が広い中型犬以上の動物が多かったのですが、高齢化、小型犬の増加で、高齢期の歯周病が非常に問題となってきています。この歯周病に対して最大の効果を出すのが、なってからの「治療」ではなく、ならないようにする「予防」です。今回は、歯周病にならないため、繰り返さないために、どんな口腔ケアをしたらよいかをお話をさせてもらいました。
前半は、動物と人の 歯の構造の違いを知ってもらい、なぜ人に比べて歯周病が多いのかをお話しました。さらに、歯磨きを含めて予防や治療をどのようにしたらいいかなど、をお話させてもらいました。
動物と人の歯の大きな違いの一つが口の中のpH(ペーハー)です。人の唾液のpHは弱酸性ですが、動物の唾液のpHは弱アルカリ性です。このpHの違いにより、人と比べると歯周病の元になる、歯石が非常につきやすいのです。およそ、3日ほどで歯垢が歯石に変化してとれなくなってしまいうため、あっと言う間に歯石がついてしまいます。ちなみに、人と違いでんぷんを糖分に分解する酵素が動物にはないので、虫歯は動物ではほとんど見られません。
後半は、実際に歯磨きについてのデモンストレーションです。歯磨きのポイントは、歯磨きに対して嫌な印象を与えないことです。無理に捕まえて、無理に口に突っ込んで、無理に磨くと、ますます嫌がります。あくまで、優しく、無理のないようにです。そのためには、おいしい歯磨き用ペーストを使うことをおすすめします。それ自体に予防効果がありますが、もう一つはおいしい味がすることで口を触ることや、歯ブラシの印象が良くなります。もし、歯磨きがうまくいかないときは、歯磨きペーストを使って、口を触る練習からはじめてください。
歯周病は痛みなどの不快な感覚、食欲不振、その他病気の原因になったり、また一緒に暮らしていくうえでの、衛生面や臭いの問題など、様々な影響をおよぼします。ぜひ、若いうちから口腔内のケアをしていくことをおすすめいたします。もし、口に関してで心配事がありましたら、ご相談ください。
次回、今週末の11月23日は、「日常のお手入れ講習会(爪きり、耳掃除、シャンプーなどのコツ)」を行う予定です。続きまして、11月30日は「老齢期の話【心臓、腎臓の話】」です。もし、お時間がありましたら、ぜひご参加ください。お待ちしております☆